
更新日:2025.03.06 公開日:2015.06.17 身近な湿度のおはなし
飛行機の機内、どうして乾燥しているの?!
長時間のフライトで飛行機に乗っていると、空気の乾燥により喉が痛くなったり肌が荒れたりと、
体の不調を感じる方がほとんどだと思います。
なぜ、飛行機の中は乾燥しているのでしょうか。
飛行機を乾燥させる理由は、機体の「腐食(サビ)」防止のためです。
旅客機が飛ぶのは約12000m(40000ft)の上空です。地上よりも、はるかに冷たい空気の中を飛んでいます。
実際に国際線に乗った際、飛行機内で表示される飛行情報を見ると、
飛行高度11,582m、外気温度はマイナス61.0℃になっていました。
国内線やプロペラ機はそこまで上昇しませんが、いずれにせよ機外はマイナスの世界になります。
一方、機内は人が快適に過ごせるように室温23~25度くらいに調整されています。
つまり、マイナスの世界と20℃以上の世界がアルミ板を挟み隣り合った状態だということになります。
すると、機内はどうなるのか。“結露”してしまうのです。
冬場の窓ガラスに水滴がついてしまうように、外気と内気の温度差があることで機体に水滴が付き、
機体を作る金属であるアルミニウムが段々とサビていきます。
サビが進むことで金属の厚さが薄くなっていき、その結果強度が低下していくのです。
最悪の場合機体が上空で破れる・・・という事態を防ぐためにも、機内の湿度を下げ、結露を防止しているのです。
飛行機の機内が乾燥している理由は分かっても、少しでも過ごしやすくなってくれたらと思いますよね。
実は今では、加湿機能を搭載した航空機が出てきています。
2009年に初飛行したボーイング787型機、2014年に初飛行したエアバスA350型機です。
これらのモデルの機体にはカーボン繊維複合材が使われています。
金属ではないため、徹底した除湿の必要がなくなり、これまで相対湿度10%以下に保たれていた湿度を
20%前後に保てるよう改善されています。
機内の湿度が少しずつ適正湿度に近づくことで、近い将来、
今よりもっと快適なフライトを過ごせる日がくるかもしれません。