更新日:2023.01.10 公開日:2016.11.18 身近な湿度のおはなし
楽器の保管と湿度管理
立冬も過ぎ、暦の上では本格的な冬が始まりました。
肌で湿度の低下を感じている方も多いのではないのでしょうか。
乾燥は「人体」だけではなく、様々なものに影響を与えます。
以前の記事で『本の保管と湿度について』ご紹介しましたが、今回は楽器と湿度の関係についてお届けします。
私たちは古来から動植物を利用し、たくさんのものを創り出してきいました。
「木材」を加工し創り出すものとしては、建物や本、生活必需品、ちょっとした道具など、その活用は多岐にわたります。
その中には芸術で使用するものも多数含まれており、その一つが「楽器」です。
木は加工された状態でも、いくらかの水分を含んでいます。
含まれた水分が蒸発してしまうとゆがみやひび割れなどが起こりますが、それらは「楽器」にとって致命的です。
楽器は筐体の絶妙なバランスで音色を保っているものなので、ゆがみなどにより調節された音色が変わってしまうと、まともな演奏ができなくなります。
そして乾燥が進みひび割れまでいくと、再度潤いを与えても形状を戻すことはできません。
正に乾燥は楽器にとって深刻な問題なのです。
このような状況を回避するためには、保管場所の湿度に気を配ることがとても大切です。
木製の楽器として代表的なのは、ギターやヴァイオリンなどの弦楽器、ピアノ、フルートやクラリネット。
また、リコーダーなども含まれます。
もちろん種類により異なりますが、理想的な保存環境は気温:15~25℃、湿度:40~60%と言われています。
複雑な工程からできた楽器では、湿度を上げすぎると内部に汗をかいたり、金属が錆びるなどの現象も起こりますが、どちらにしろ寒く乾燥するこれからの季節には、しっかりと対策をすることが重要です。
大切な楽器に修復できないような状況が起こらない様にするためにも湿度管理には十分心がけていきたいものです。