更新日:2024.02.29 公開日:2019.06.27 身近な湿度のおはなし

においと湿度

雨が降りはじめるとき「雨のにおい」がしますよね。

懐かしいと感じる人や好きな人、
苦手な人もいるかもしれません。
感じ方に違いはあっても、
雨のにおいと聞いてピンと来る人が多いのではないでしょうか。

においの正体は「ペトリコール」です。
実は、ペトリコールは雨に含まれている物質ではありません。

地面が乾いた日が続いたときに、
植物が種子を守るために分泌する油が土壌にしみこみます。
土の中にあるので、晴れた日はにおいません。
しかし、雨が降り始めて土壌に雨粒が落下すると、
空気を含んだ細かい水の粒子が跳ね返りますが、
その際、岩や土にしみこんでいたにおいが
水の粒子と一緒に空気中に放たれます。

ちなみに雨が降っている間は、
雨で流れてしまうため、においを感じませんが、
降り始めのときや、雨が降っている地域の近くでペトリコールを感知します。
また、空気中に水蒸気が多くなると、
においの分子がたまりやすくなるため、
湿度が低いときには感じないにおいも湿度が上がると感じやすくなります。

また、湿度が高いことでにおいが強くなるのは雨だけではありません。

湿度が高い夏のほうが、
冬よりもさまざまなにおいがしますよね。
反対に、エベレストのような8000メートル級の山の上では、
においはしないと言われています。

山頂に到達した登山家が、
渡された花束のにおいをかいでも全然におわなかったが、
ふもとに戻ってくるといい香りがした、という話があります。

エベレスト山頂付近では、
平均気温がマイナス20℃にもなるため、
湿度が低く常時乾燥しています。
空気中の水分量が少なく、においの分子がたまりにくいので、
においを感じにくくなるのです。

においで季節を感じられるのは、
湿度があるからこそなんですね。

冬に比べ、湿度が高くなるこの時期、
悩みの種になることも多いですが、
他の季節には感じることができないにおいを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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