更新日:2024.05.30 公開日:2020.06.29 身近な湿度のおはなし

梅雨のおうち時間にパンを作ろう

5~7月上旬は、気温と湿度が高く、パン作りに適した気候と言われています。
その理由は、パン生地の発酵には温度と湿度が必要になるためです。

発酵とは、パン酵母の活動によって生じる現象です。真菌であるパン酵母は、生地の中の糖分を栄養源にして、水分に触れることで活動し、炭酸ガスやアルコールを生成します。
この炭酸ガスが発生することで、生地が膨らみ、ふんわりとしたパンが出来ます。梅雨の湿気によってカビが生えやすいのと同じように、パン酵母の活動も、湿気によって活発になるのですね。
基本的なパンの作り方では、生地をこねてから一次発酵、パンを成形してから二次発酵させます。特に、二次発酵は最終発酵とも言われ、パンの焼き上がりを左右する重要な工程です。
この二次発酵に適した空気環境は、パンの種類にもよりますが、気温が35℃くらい、相対湿度は80%くらいと、梅雨や初夏の時期に揃いやすい環境です。温度が高すぎると、過発酵になりやすいため、この時期がちょうどよいのです。
ちなみに、過発酵してしまった生地を修正するのは困難なので、夏には注意が必要です。

しかし、冬に相対湿度80%の環境を作るのは大変ですよね。そんな時に使用されるのが、ホイロと呼ばれる道具です。
ホイロは、成形したパンを焼く前の二次発酵の際に使用される発酵器です。温度や湿度を一定に保つことができる道具で、中にパン生地を入れて二次発酵を促します。
また、一般家庭にあるものでも代用ができます。
例えば、生地を載せた鉄板と熱湯の入ったコップをビニール袋で覆う方法や、発砲スチロールの中に入れてフタをするなどで、湿度を高めることができます。
湿度が低いと発酵が遅くなるうえに、生地の表面が乾いて十分に膨らまず、硬いパンが焼き上がってしまいます。
作業中に乾燥が進むこともあるので、部屋の湿度が低い場合には、加湿器を使用するのもよさそうです。

梅雨の湿度は、疎ましく思われることが多いですが、パンを作るにはよい気候です。おうち時間を楽しむ日にパン作りはいかがでしょうか。
その際は、湿度管理をお忘れなく。

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