公開日:2023.08.25 身近な湿度のおはなし

ペットボトルで除湿できるって本当?

 

蒸し暑い部屋に、凍らせたペットボトルを置くと
除湿ができるという話を、聞いたことはありますか?

なぜ除湿ができるのかというと、
空気中には目に見えないたくさんの水蒸気があります。
湿度は、この水蒸気が空気に対してどのくらいあるのかを数値で表しています。

蒸し暑いと感じる時は、空気中の水蒸気がたくさんある状態なので、
それらの水蒸気を気体から液体に変えて取り除けば、
空気を除湿することができます。
凍らせたペットボトルを部屋に置いていると、結露により水分を取り除くことができるためです。
結露の仕組みについてはこちらの記事で説明しています。

原理は分かっても、ペットボトルで本当に湿度が下がるのか、信じがたいですよね。

そこで、実際に2Lの凍らせたペットボトル3本と湿度計を用意して、
除湿ができるかどうか、やってみました!

【実験部屋の環境】
・部屋の大きさ:39.6立方メートル(㎥)
・実験中はドアを閉めて外気を遮断

【実験結果】
実験開始時:温度26.9℃、相対湿度64%

途中経過:25℃、71%

2時間半後:25.7℃、65%

なんと、湿度が下がるどころか、上がってしまう結果となりました。

■ポイントは絶対湿度!
実験失敗かと思われましたが、
よくよく見てみると、除湿はできていました!
湿度が上がっているのに、除湿できているとはどういうことか?
それは、一般的な湿度計では相対湿度が表示されているためです。
そのため、表示だけを見ると除湿できなかったように感じますが、
絶対湿度で見ると、きちんと湿度が下がっているということが分かります。


実験開始時(温度26.9℃、相対湿度64%)この条件下での絶対湿度は下記の通りです。

絶対湿度:16.40427g/㎥
1㎥の空気中に16.40427gの水分が含まれています。
今回実験した部屋の広さは39.6㎥ですので、室内に含まれている水分量はおおよそ下記となります。
16.40×39.6≒649.4g

次に実験終了後の水分量を確認してみましょう。
実験終了後(温度25.7℃、相対湿度65%)この条件下での絶対湿度は下記の通りです。

絶対湿度:15.5845g/㎥
同様に水分量を計算すると下記となります。
15.58×39.6≒616.9g

実験前と実験後では約30gの水分が空気中から結露により除湿されたことが分かります。

また途中経過の25℃、相対湿度71%についても計算してみましょう。
絶対湿度:16.36811g/㎥
こちらも水分量を計算すると下記となります。
16.37×39.6≒648.2g

途中経過も水分量としては多少ですが、減っていますね。

実際に今回の実験によって結露した水の重量を図ってみると70g程でした。
計算結果と数値に開きがありますが、これは密閉した実験室で行ったわけではなく、
今回は通常のお部屋で実験しましたので、空気の出入りが多少なりともあるためです。

絶対湿度と相対湿度の違いはこちらの記事でご説明しています。

【まとめ】
凍らせたペットボトルで部屋を除湿できるか実験してみましたが、
結果、除湿することができました!

相対湿度の数値としては、明確に分かりずらい結果となりましたが、
湿度のお勉強になったのではないでしょうか?
外気の温湿度、部屋の広さやペットボトルの本数が変わると、
また違う結果が見られると思いますので、ぜひやってみてくださいね。

もちろん、エアコンの除湿機能とは比較になりませんが、
生活の知恵の一つとして覚えておくと役立つかもしれません。

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