公開日:2024.05.16 身近な湿度のおはなし
雲海が発生しやすい湿度と気象条件
不思議な質問ですが、皆さんは雲を見下ろしたことはありますか?
飛行機や山頂から「雲海」を見下ろしたことがあるという方は、たくさんいらっしゃると思います。
山の合間にまるで海のように広々と雲が広がるその幻想的な風景は、SNSやメディアでも注目を集めるコンテンツとなっており、日本各地にある雲海スポットは人気の観光地となっています。
しかし、雲海が発生しやすい場所であっても、気象条件が揃わないと出会うことができません。
そのため、天気予報を見て事前に調査をしてから出向くことが必要です。
雲海には湿度が大きく影響していますが、他にも必要な条件があります。
どのような気象条件が揃うと雲海が発生しやすいのかをご紹介します!
まずは、雲が発生する仕組みを思い出してみましょう。
水蒸気が含まれた空気が冷やされると、
空気が含みきれなくなった(飽和水蒸気量を超えた)水分が水滴になります。
その小さな水滴や氷の粒が集まって雲を作ります。
そして、これが雲海になるには、雲のできる高さがポイントです。
雲はその特徴によって10種類に分けられますが、雲海になる雲の多くは、低い位置にできる層積雲や層雲です。
これらの雲が発生するためには、山頂よりも低い位置に発生し滞留するような気象条件である必要があります。
必要な条件は、雲が発生するために、地上付近には冷たく湿った重い空気、その上空は晴れていて暖かく乾いた空気があることです。
雲海ができる仕組みをふまえて、出会う可能性が高まる条件を3つにまとめました!
・相対湿度が高い日
空気がよりたくさんの水蒸気を含んでいる方が、雲が発生しやすいため、
相対湿度が100%に近ければ近いほどよいと考えられます。
しかし、上空の空気は乾いている必要がありますので、雨の日は見ることができません。
前日に雨が降っていて、夜から早朝にかけて晴れているタイミングがGOODです。
また、地上近くで発生した雲が、山頂よりも上空に広がってしまっては雲海を見ることはできません。
地上付近は湿っていて重たい空気、上空には暖かくて乾いた空気の層が出来る必要があります。
・昼と夜の気温差が大きく、晴れの日
昼の暖かい空気は雲の種となる水蒸気がたくさん含まれているので、夜との気温差が大きいと、
水蒸気が水滴になりやすく、雲がたくさん出来ます。望ましい気温差は10℃位です。
また、夜に晴れていると、放射冷却によって地面から熱が放出され地表付近の空気が冷えるため、より雲が発生しやすくなります。
・風がない
せっかく発生した雲が上空や他の所へ流れていってしまうため、風が吹いていないことも重要です。
事前の調査でこれらをチェックして、雲海スポットへ行きましょう!
雲海は、その想的な美しさだけではなく、気象条件が揃わないと見ることができない自然現象であることも、
人々の注目を集める理由の一つと言えます。
特に秋〜冬にかけて多く見られますが、春にも見られるところも多くあります。
気象情報をチェックして、訪れてみてはいかがでしょうか。