更新日:2024.06.27 公開日:2024.06.19 身近な湿度のおはなし

パンケーキ症候群

梅雨から夏の時期にかけては湿度が高く、自宅での食品管理には特に気を使いますよね。
細菌は高温多湿を好む種類が多いため、この時期は食品の中で有害な細菌が繁殖しやすく、
それに気づかず食べてしまうことで食中毒を引き起こしてしまうことが多くなります。
食中毒の危険性が高い食品として、野菜やお肉など、
生鮮食品を思い浮かべる方が多いと思いますが、
実は、常備している「粉」製品にも危険が潜んでいることをご存知でしょうか?

今日ご紹介するのは、その名も「パンケーキ症候群」です。
「経口ダニアナフィラキシー」とも呼ばれますが、
アメリカではパンケーキミックスによって引き起こされることが多いため、この名称が付けられています。
日本では、お好み焼き粉・たこ焼き粉などが原因となる場合が多くあります。
この症状は、自宅で保管しているパンケーキミックスやお好み焼き粉にダニが繁殖し、
ダニ由来のアレルゲンタンパク質を食べてしまうことによって発症するアレルギー症状です。
蕁麻疹や浮腫、呼吸困難になり、病院に搬送されるケースもあり、
美味しそうな名前に反して恐ろしい症状が出る可能性があります。

特に、アレルギー性鼻炎や気管支喘息などのダニアレルギーを持っている人に起こることが多いとされています。
また、小麦粉を含む食品を摂取してから症状が出るため、小麦粉アレルギーと間違えられることがありますが、
家庭で古い粉を使用した場合にだけ発症するのが、パンケーキ症候群です。
一方で、ダニが繁殖するまでに数週間かかるため、
小麦粉の使用量が多い飲食店では、ダニが繁殖する前に粉を使い切るため、
飲食店で提供された料理で発生することはほとんどありません。

また、調理の際に火を通しても、ダニを殺すことはできますが、
アレルギーを引き起こすアレルゲンタンパク質は残るため、口にするとアレルギー反応が起こります。

これを防ぐには、粉の中にダニを発生させない保存環境が必須となります。
ダニが繁殖しやすい環境は、気温25℃・湿度75%前後と言われていますので、
梅雨から夏の時期に常温で保存すると、ダニは喜んで繁殖してしまいます。
そのため、一度封を開けたら使い切ることを心がけてください。
もしも保存をする場合には、冷蔵庫に入れて保存しましょう。

食中毒は一年を通して発生しますが、特に梅雨から夏にかけては注意が必要です。
詳しくは、「食中毒と温湿度の関係」の記事をご覧ください。
食中毒だけでなく、粉の保管にもご注意を!

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