
更新日:2025.02.28 公開日:2025.02.27 身近な湿度のおはなし
日本と世界の花粉症の違い
日本で花粉症というと、春に飛散するスギ花粉を思い浮かべる方がほとんどだと思います。
実際には、一年中花粉は飛散していますが、日本人の花粉症患者の内、約70%がスギ花粉症と言われているため、花粉と言えば春というイメージが強いようです。
日本でスギ花粉の患者数が多いのは、スギの木が全国各地に自生しているためです。
花粉症は他の国にもありますが、国によって多く飛散する花粉が違うため、花粉症シーズンと呼ばれる時期も異なります。今回は、日本以外の国の花粉症事情をご紹介いたします。
世界三大花粉症と呼ばれているのは、日本で最も多い「スギ花粉」、ヨーロッパに多いイネ科の「イネ科花粉」、そしてアメリカで多い「ブタクサ花粉」です。
イギリスでは、国民の4人に1人がイネ科のアレルギーを持っていると言われています。日本ではあまりなじみがないですが、「カモガヤ」や「オオアワガエリ」などの花粉で、いわゆる芝生や雑草と呼ばれる植物です。イネ科の植物の花粉は飛散範囲が10~200m程度であるため、何kmも飛散するスギ花粉と比べると影響が少ないように感じますが、ヨーロッパでは芝生や牧草地があちこちにあり、避けて過ごすことができません。
日本では5月頃がピークのイネ科花粉ですが、イギリスでは5月頃から9月頃まで長く続きます。
また、イネ科のアレルギーを持っている人は口腔アレルギー症候群と言って、メロンやスイカ、ズッキーニなどの果物や野菜を食べても、アレルギー反応が出てしまうこともあります。
続いて、アメリカの花粉症のメインは「ブタクサ花粉症」です。時期は地域によって異なりますが、北東部では8月頃から10月頃、西部では4月頃から7月頃です。ブタクサは北米由来の植物ですが、明治初期に日本に入り全国各地に広がったため、日本でも秋頃に花粉症の症状が出ます。日本では、スギ、ヒノキの次に多い花粉症ですが、イネ科の花粉と同じく飛散距離が短い花粉です。
花粉症対策の基本である「花粉を体内に入れない」ために、日本ではマスクが一般的ですが、ヨーロッパやアメリカではマスクを着用する習慣があまりなく、付けて歩くことが難しいようです。
日本の国民病とも呼ばれる花粉症ですが、世界でも花粉に悩まされている人たちがたくさんいます。
しかし、飛散している花粉は地域によって異なるため、自分の持っているアレルギーの種類が分かっていれば、「花粉症逃避旅行」が可能です。実は日本国内でも、沖縄県や北海道は、スギやヒノキがほとんど無く、またブタクサも少ないため、花粉症シーズンの逃避場所として人気があります。
一方で、国や地域によって、飛散している花粉は様々なため、これまで発症していなかった花粉症が、他の地域に行くことで発症してしまう危険性もあります。例えば、スギ花粉の心配がないハワイやタイ、フィリピンでは、南国らしく「マンゴー花粉症」がありますので油断は禁物です。